新編ギルガメッシュ叙事詩
新編ギルガメッシュ叙事詩編 ビジリアの章
プロローグ
この物語は、人類創生のはるか昔、「神」の時代に遡る――。
“アヌンナキの神々”、彼らはそう呼ばれた。令和の現代から数十万年前の太古の昔、悠久の流れを湛えたチグリス・ユーフラテスの両大河に囲まれたメソポタミア地方。そこに舞い降りし、天空から遣わされた神々の名だ。
神の世界にも「秩序」と「階級」、そして「社会」がある。当初、地上でのあらゆる労働は、アヌンナキの下級神であった“イギギ”が任されていた。しかし、いつしかアヌンナキは“人間”を創造し、神々の労働をそれらに担わせるようになっていったのだ。
アヌンナキの神々が人間を統べる時代が始まり、彼らは人間たちに都市国家の建設、農耕、それから鉱物資源の発掘など、あらゆる労働を与え、従事させた。そして、それから幾星霜の歴史の中で、いつからか【人間との交わりを持つ神々】が現れるようになった。半神半人の彼らは、神とも人とも言えぬ異形の魂をその身に宿す。
これは、神々と人間との交わりが産んだ、混沌たる世界の運命に抗う、勇ましくも切ない“二人”の英雄冒険譚である。